2005年07月11日
千歳川放水路
元ウトナイ湖サンクチュアリのレンジャー・大畑孝二さんの本を読んで
その繋がりでこの本を読んでみた
「市民が止めた! 千歳川放水路」
計画が撤回・中止されるのは不可能とされていた「公共事業」を中止に追い込んだ画期的なこの千歳川放水路の事例が緊張感をともないながらも明快に記されている。
特に序章でこの放水路の計画発表から中止までのドキュメントが総括されているのだが、ここの記述が実に読みやすく的確、整然としていた。理由はこうだった。この放水路に関する新聞記事、取材データをもとに新聞記者が再編した文章であった。改めて新聞記者の文章力というものに驚きを覚える。
いろいろな立場の団体の姿勢が実に良くまとめられている。
北海道側として今後の未曾有の大雨に対する治水は千歳川放水路しかないと譲らない。自然保護を主張する側は放水路の造成によって美々川の地下水脈から水が放水路側に逃げてしまって美々川、ウトナイ湖が死滅すると警告する。自然保護側としては反対するだけではなく学術的に検討した代案を提出するも議論はかみ合わない。
石狩川、千歳川の流域住民はとにかく早く着工して欲しい。水害の度に財産を失うからだ。
もうひとつ、苫小牧沿岸の漁業協同組合の立場。大雨災害時に最大毎秒2000トンの泥水が海に放出される。ホッキやカレイなどの資源に大きな影響を受ける。また本来、日本海側に流れるべき川の水を太平洋側に流すことで鮭が間違って太平洋側に戻ることも懸念されるということには驚いた。
道・開発局は美々川の枯渇に関してこんな対策案を示した
これに対して当時の苫小牧市長も
日本各地に、こういった運動の甲斐なく人口心臓を移植されてしまった「自然」があると思うと複雑な心境だ。
1999年7月27日、堀・北海道知事(当時)が上京
7月30日、国は計画中止を発表した
北海道新聞社刊
特に序章でこの放水路の計画発表から中止までのドキュメントが総括されているのだが、ここの記述が実に読みやすく的確、整然としていた。理由はこうだった。この放水路に関する新聞記事、取材データをもとに新聞記者が再編した文章であった。改めて新聞記者の文章力というものに驚きを覚える。
いろいろな立場の団体の姿勢が実に良くまとめられている。
北海道側として今後の未曾有の大雨に対する治水は千歳川放水路しかないと譲らない。自然保護を主張する側は放水路の造成によって美々川の地下水脈から水が放水路側に逃げてしまって美々川、ウトナイ湖が死滅すると警告する。自然保護側としては反対するだけではなく学術的に検討した代案を提出するも議論はかみ合わない。
石狩川、千歳川の流域住民はとにかく早く着工して欲しい。水害の度に財産を失うからだ。
もうひとつ、苫小牧沿岸の漁業協同組合の立場。大雨災害時に最大毎秒2000トンの泥水が海に放出される。ホッキやカレイなどの資源に大きな影響を受ける。また本来、日本海側に流れるべき川の水を太平洋側に流すことで鮭が間違って太平洋側に戻ることも懸念されるということには驚いた。
道・開発局は美々川の枯渇に関してこんな対策案を示した
放水路両岸に止水壁を埋め込み、放水路の東側に井戸を掘って地下水をくみ上げ、導水管を通して美々川に継ぎ足すという案だった
これに対して当時の苫小牧市長も
健康な体に人口心臓を移植し、ペースメーカーで維持するような違和感があると首をかしげた。
日本各地に、こういった運動の甲斐なく人口心臓を移植されてしまった「自然」があると思うと複雑な心境だ。
1999年7月27日、堀・北海道知事(当時)が上京
7月30日、国は計画中止を発表した
北海道新聞社刊
Posted by Elizabeth at 00:26│Comments(0)
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