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2005年01月16日

「垂直の記憶」 山野井泰史  山と渓谷社

「垂直の記憶」 山野井泰史  山と渓谷社 1500円+税

登山に興味がある
映画ではスタローン主演の「クリフハンガー」や主演はわからないが「バーティカル・リミット」を観た。山岳の記録映画も見る。
理由は至って簡単。
登山が好きなのではなく
あのひと達のやっていることが理解に苦しむからだ
理解できない。死と隣り合わせの世界に身を投じる。


いままで登山のイメージは、大人数でベースキャンプがあって
衛星通信とかGPSとか医者とかコック、サポート隊がいて、アタック隊がいて、緻密な計算のうえで、莫大な資金をつぎ込むやりかただ。

この著者、山野井氏のスタイルはアルパイン・スタイルという。
強靭な肉体を武器に、10キロ以内の軽装備、48時間でも寝ないで登り続けるスピード、無酸素、そして単独行動。
日本には70歳近い年齢でチョモランマに登頂した有名な人がいる。札幌の女性も昨年、チョモランマ登山に成功し、危険な状態で下山したと聞く。
これは凄いことだが、この本の著者、山野井氏や世界屈指のクライマーのアルパイン・スタイルはまさに超人、想像を絶する登山方法だ。
1章から6章までは山野井氏の登山の成功例や敗退例が淡々と綴られている。


しかし、この本のクライマックスは
「第7章 生還 ギャチュン・カン北壁」にある。
1時間ほどもあれば読み終わる7章でとても本を読んでいるとは思えないような生々しさを味わうことになる。なぜこの状況で山野井夫妻は生き残れたのか、信じられないくらい苛酷な、映画など足元にも及ばないような実録の文章だった。
 
ヒマラヤのギャチュン・カン北壁。頂上は7952メートル
矢印は7章で山野井夫妻が遭難した「壁」
下山途中に雪崩に遭い、妻・妙子氏が転落する
 




どうみても垂直に近い「壁」だ。登山家はこのような壁でも体を固定してビバークするらしい。そして雪崩に巻き込まれた妙子氏は泰史氏と結ばれた8ミリのロープで辛うじて滑落は免れた。が、細いロープは映画のように切れ始め、慌てて体を揺らして氷壁にしがみついた。4時間後、なんとか泰史氏に救出されるが、このとき2人とも目が見えなくなっていた。この壁に体をくくりつけて夜を明かす。


この後も、信じられないような死と隣り合わせの下山の描写が続く。
そして生還。
泰史氏は両手両足の指、10本を失い、妻・妙子氏は手足の指全てを失う。


7章の終わり間際の1文。
ベースキャンプが近くなったが妙子氏は消耗しきって死の直前だった。
泰史氏は最後の力で、単独でベースに降りて応援を連れて来ることにした。


「彼女は、ほとんどまともに歩くことが出来ないほど弱りきっていた。別れるとき、彼女の写真を数枚撮った。もしかしたら生きている妙子を見られるのも最後になるかもしれないと思って」
  

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Posted by Elizabeth at 09:56│Comments(0)
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